新しくひとりぐらしをするときや、急な転勤・離婚などで住む場所を変えなくてはいけないとき、いちばんドキッとするのが「初期費用」の金額です。
家賃がそんなに高くない部屋を探しているのに、最初に何十万円も必要と言われると「なんでこんなに高いの？」と疑問に思いますよね。
でも大丈夫です。
今回は、初期費用のしくみから、どれくらいの相場なのか、どうやって削減できるのかなどをまとめました。
学生さんや若い社会人、シングルマザーやフリーター、外国の方など、あまり貯金がない人や慣れていない人でもわかるようにまとめているので、ぜひ参考にしてください。
賃貸の初期費用が高すぎるのはなぜ？しくみと理由を知ろう
賃貸の初期費用が高すぎる！何が含まれているの？
賃貸の部屋を借りるとき、初期費用には主に「敷金」「礼金」「仲介手数料」「保証会社の料金」などが入っています。
特に大きいのは、敷金と礼金、それから仲介手数料です。
敷金は「退去時のクリーニング代やダメージの補修費のために預けるお金」
礼金は「大家さんへのお礼」
仲介手数料は「不動産屋さんに支払う紹介のための報酬」です。
これらが家賃の1〜2カ月分ずつになっていることが多く、そこに火災保険料や前家賃、かぎ交換代がプラスされると、あっという間に数十万円になることもあります。
本当に払う必要があるの？払わなくていいものはある？
初期費用には、どうしても支払わないといけないものと、条件や交渉次第でカットできるものがあります。
たとえば、火災保険や保証会社の料金は、今の日本ではほとんど必須です。
でも「かぎ交換代」「消毒費」「ハウスクリーニング代」などは、物件によっては不要だったり、交渉でカットできるかもしれません。
「この費用って絶対必要ですか？」と不動産屋さんに聞いてみるだけでも、最初の見積もりから何万円か下がることがあります。
敷金・礼金・仲介手数料ってなに？それぞれの役割と違い
- 敷金
部屋を壊したり汚したりした場合にそなえ、あらかじめ預けるお金です。
退去時に補修があればその費用が引かれて、残ったぶんは戻ってきます。 - 礼金
大家さんへの謝礼です。
これは退去するときも返ってこないので、実質的に「なくなるお金」です。
最近は「礼金ゼロ」の物件も増えてきています。 - 仲介手数料
不動産屋さんに支払う紹介費です。
法律で「上限は家賃1か月ぶん+消費税」と決められています。
物件によっては手数料半額や無料のものもあるので、探す価値はあります。
賃貸の初期費用はいつ払うの？
初期費用は、契約を結ぶときに一括で支払うのが一般的です。
入居日が月の途中だと、そのぶんの日わり家賃が必要になります。
もし月末に契約して月初から入居するなら、入居月の家賃は日わりにならず、まるまる1カ月分を先に払う場合もあります。
入居日のちょっとしたタイミングで、前家賃の有無や金額が変わるので、不動産屋さんと相談するといいでしょう。
「高い理由」を分解してみると見えてくること
初期費用が高いと感じる原因は、いくつもの費用が一気に集まるからです。
家賃が安くても、敷金と礼金を合わせて2カ月分、仲介手数料1カ月分、それに火災保険や保証料などをたすと、5カ月分くらいになってしまうことがよくあります。
でもこの内訳をきちんと見れば、どこか削れるポイントや交渉できる部分があるはずです。
相場はいくら？賃貸の高すぎる初期費用の判断基準を見つけよう
賃貸の一般的な初期費用の平均はいくら？
初期費用の総額の相場は、ざっくり言うと「家賃の4〜5カ月分」が目安とされています。
たとえば、家賃が8万円の部屋なら、初期費用は30万〜40万円台。
家賃が10万円なら、40万〜50万円以上になるケースが多いです。
東京の都心部やファミリー物件など、家賃が高ければ初期費用もそのぶん上がります。
20万・30万・40万・50万・100万…実例で見るリアルな金額感
- 20万円
敷金・礼金ゼロ、仲介手数料半額などの物件だと可能です。
たとえば家賃5万円で敷金も礼金もゼロ、仲介手数料0.5カ月分、保証料0.5カ月分だと、合計20万円前後になります。 - 30万円
家賃6万円前後、敷金と礼金それぞれ1カ月、仲介手数料1カ月という標準パターンでも、全部合わせると30万円近くなります。
礼金ゼロ物件ならもっと下がる場合があります。 - 40万円
家賃8万円くらいだと、このあたりがよくあります。
敷金1カ月、礼金1カ月、仲介手数料1カ月、保証料0.5カ月などを足すと、40万円くらいになるイメージです。 - 50万円
家賃10万円クラスだと、敷金1〜2カ月、礼金1カ月、仲介手数料1カ月がつくと50万円以上いきます。 - 100万円
家賃20万円を超えるような広い部屋（たとえば3LDKとか）だと、初期費用が100万円を超えることもめずらしくありません。
20万で引っ越せる？どんな条件なら可能？
家賃が5万円台かもっと安い部屋で、敷金・礼金ゼロ、さらに仲介手数料が半額以下などの条件が重なれば、20万円前後での引っ越しが現実的になります。
フリーレント（最初の1か月ぶんの家賃が無料など）の契約があるともっと下がることもあります。
ただし、そのかわりに退去時クリーニング代が高かったり、契約期間が短いと違約金が発生するなどの注意点があるので、しっかり契約書を見ましょう。
30万円って高い？安い？平均との比較
平均的には、家賃6〜7万円くらいの部屋だと、初期費用30万円は「まあ妥当かな」というラインです。
でも家賃5万円以下で敷金もゼロなら、30万円はやや高いかも…というふうに感じるでしょう。
実際にはお部屋の設備、火災ほけんや仲介手数料の割引などで変わります。
40万円だとどんな部屋に住める？
家賃が8万円台くらいの一人ぐらし用物件だと、初期費用40万円くらいがよくある費用です。
東京都内（山手線の内側あたり）で駅近の人気エリアだと、それでも「安いほうかも」と思ってしまうくらいです。
地方なら家賃8万円はかなり良い条件の部屋かもしれません。
50万円かかった人の体験談と内訳
たとえば、初期費用で50万円以上かかった人に聞いたところ、家賃10万円のお部屋で、
- 敷金1カ月分10万円
- 礼金1カ月分10万円
- 仲介手数料11万円（消費税含む）
- 前家賃10万円
- 火災保険2万円
- カギ交換や保証料などで7万円くらい
これで合計50万円をちょっと超えます。
都心でちょっと広めの部屋を借りると、こういったケースがよくあります。
こんな数字が現実に出てくると、やっぱりひるみますよね。
100万円ってありえるの？どんなケース？
家賃が20万円以上のファミリー向け物件や、都心のいわゆる「高級賃貸」だと、敷金2カ月、礼金1カ月、仲介手数料1カ月などで合計100万円を超えることもあります。
収入が高い人じゃないと借りにくいですが、出張で会社負担になるケースもあって、ふつうの人にはピンとこないような金額になります。
初期費用が高すぎるときにできる対策
費用を下げるための交渉ポイントとコツ
- 空室期間が長そうな物件を狙う
大家さんは「長く空室だと困る」と思っているので、敷金や礼金の交渉が通りやすい場合があります。 - 閑散期を狙う
4月前後のピーク時をさけて、6〜8月や11〜12月に引っ越すと交渉しやすいです。 - フリーレント交渉をしてみる
「1カ月だけでいいので、フリーレントにしてもらえませんか？」と聞いてみると、思わぬ節約になることもあります。 - 仲介手数料の値下げを相談
最近は手数料無料や半額の不動産会社があるので「仲介手数料はどれくらいかかりますか？」と必ず聞いてみましょう。
敷金・礼金ゼロ物件のメリットと落とし穴
敷金・礼金ゼロ物件のメリットはなんといっても初期費用の安さです。
物件によっては敷金も礼金もゼロだと10万円以上安くなることもあります。
でも、ゼロゼロ物件の場合、退去時に高額なクリーニング代や修繕代を請求されるリスクがあります。
礼金ゼロでもそのぶん家賃が高めに設定されているケースがあったり、入居後の更新料が高いケースもあります。
「なんだかお得っぽいけど本当に得なのかな？」とじっくり調べることが大切です。
仲介手数料や保証料を節約するには？
- 仲介手数料が無料や割引の会社を探す
ネットで「仲介手数料無料 賃貸」などと検索してみると、そのようなサービスに力を入れている不動産会社が出てきます。
ただし、すべての物件が無料対象とは限りません。 - 保証会社を使わずにすむ物件を選ぶ
今は少ないですが、連帯保証人を立てれば保証会社不要というケースもあります。
保証料がないぶん初期費用がグッと安くなります。
家具付き物件・ルームシェア・マンスリー利用という選択肢
- 家具つき物件
ベッドや冷蔵庫、洗濯きなどが最初からそろっているので、大きい買い物をしなくてすむメリットがあります。
でも家賃が少し高めになりやすいです。 - ルームシェア
友人と一緒に住めば、家賃も初期費用も分割できます。
シェアハウスなら家具がそろっていることが多く、初期費用が10万円前後でおさまることもあります。
ただし、プライベート空間がせまいなどデメリットもあります。 - マンスリーマンション
敷金や礼金、仲介手数料がかからないことが多いです。
短期滞在にはとても便利。
でも月々の家賃が高めなので、長期で住むと割高になりがちです。
支払いを分割やクレカでできる？現実的な方法を検証
初期費用のまとまったお金（現金）がないときに嬉しいのが「クレジットカード決済」や「分割払い」の対応です。
大手の不動産会社や管理会社は、クレジットカード決済を導入しているところが増えています。
カード払いなら、ポイントもたまるし、分割払いやリボ払いも可能です。
金利や手数料がかかるので、むだに利子を増やさないよう気をつけてください。
また、専用の分割サービスを提供している会社もあります。
最長で数カ月〜1年ほどで初期費用を分割返済できるシステムです。
ただし、あまり長期だとトータルの返済額が大きくなることを忘れずに。
まとめ：賃貸の初期費用が高すぎると感じたときに知っておきたいこと
賃貸の初期費用が高すぎると感じるのは自然なこと
家賃の4カ月分とか5カ月分とか一気に出すのは、どんな人でも負担が大きいです。
特に学生さんやシングルマザーなど、お金が限られている人が「こんなに払えない！」と感じるのはあたりまえです。
でも「内訳を知る」と無駄が見えてくる
敷金・礼金・仲介手数料…これらがなぜ必要なのか、どのくらいの相場なのかを知ると、「ここは交渉できる」「ここは本当はいらないオプションかも」といった発見があります。
ぜひ契約書をしっかりチェックし、不動産屋さんにもはっきり質問してみてください。
賃貸 初期費用 高すぎると感じたら、行動できる選択肢はある
「高いな…」と感じるなら、できることはいろいろあります。
物件自体を見直す、交渉してみる、初期費用が少なくすむ方法を試すなどです。
敷金・礼金ゼロ物件や、仲介手数料を抑える会社を探したり、カード分割払いを利用するのも現実的な選択肢です。
自分の状況に合わせて、ぜひ最適な方法を見つけてください。
初期費用を上手に節約して、新生活を気持ちよくスタートさせましょう。
