アースの取れない賃貸物件で、電子レンジを安全に使うのはちょっと不安ですよね。
自宅で使う家電の中でも、電子レンジは高い電力を使うので、万が一のトラブルが心配になる方も多いと思います。
そこで今回は、アースがない賃貸でも電子レンジを安全に使うための具体的な工夫と知識を整理しました。
アースがない賃貸で電子レンジを使う際の基本知識

アースがない場合の電子レンジのリスクとは?
電子レンジは強い電力を使って食品を加熱する家電です。
そのため、電気がうまく流れないと、感電やショート、故障のリスクが高くなります。
アースがあると、もし電気が外に漏れたり、機械の内部で不具合があったときに、余分な電気を地面に逃がしてくれます。
しかしアースがないと、その電気が外に放出されず、本体やコンセント周りにたまってしまうことがあるため危険なのです。
- 内部故障で漏電した場合、電子レンジの金属部分に触れると感電するリスクが高まる
- 小さなほこりや水分などが電気回路に影響し、発火や停電の原因になる可能性がある
アースがない賃貸の場合は、そうしたリスクの安全策が用意されていないということなのです。
アース端子の役割と重要性
アース端子は、電化製品と地面をつなぐ“電気の逃げ道”として機能します。
たとえるなら、たまった雨水を流す排水溝のようなイメージです。
電子レンジの内部で万が一ショートが起きたり、配線が傷んで漏電しても、アース端子がしっかり接続されていれば、漏れた電気は地面に流れて人体への影響を最小限に抑えます。
アース線を差し込むだけ、あるいは金属ネジで固定するだけの単純な作りですが、安全面でとても大切な部分です。
- 漏電した電流を地面へ逃がし、感電事故を予防する
- 製品内部の静電気を外へ逃がして、誤作動や火花の発生を抑える
わずかな電流であっても、人体には危険な場合があるため、その逃げ道を確保することはとても大切です。

賃貸で「アースがない」理由とその背景
日本の住宅は古い建物だと、アース端子自体が設置されていないことが珍しくありません。
築年数の古い物件では、当時の法規制や設備基準が現在ほど厳しくなかったため、アース付きコンセントを設置しなくても問題にならなかった背景があります。
また賃貸物件では、建物全体をリフォームしづらい事情もあるため、現状でもアース付きコンセントがないお部屋が残っています。
特に賃貸オーナーが「電子レンジ専用コンセント」を用意していないケースでは、アース端子を工事で取り付けるのも手間とコストがかかり、そのままになっている場合が多いです。
結果として、住人が「アースがない!」と気づくのは、冷蔵庫や電子レンジなど、アース必須の家電を設置するときになってしまうのです。
アースがない場合でも安全に電子レンジを使う工夫
簡単にできるアースの代用方法
もっとも正式なのは、電気工事士などに依頼してアース端子付きのコンセントを設置してもらうことですが、賃貸だと勝手に工事ができない場合もあります。
アース工事ができない、あるいは大掛かりな工事はしたくない…そんなときは、以下のような代用方法があります。
- 金属製の水道管にアース線をつなぐ
水道管が金属製の場合、水道管を通して地面につながっていることがあります。
ただし、最近は樹脂製の管も増えているため、見た目や材質をよく確認しましょう。
水道管用のアースクリップを取り付けるだけで、漏電時の安全性が大幅に高まります。 - アース棒を打ち込む(庭やベランダなど)
一戸建て感覚ですが、マンションやアパートのベランダなどにアース棒を打ち込める環境があれば有効です。
ただし、ベランダや共有スペースの改造は許可が必要な場合が多いです。 - エアコンの配管や金属サッシに一時的にアースを取る
推奨されるやり方ではありませんが、応急処置として使われることがあります。
ただし、外部に露出していて、雨水などが原因で感電リスクが上がるケースもあります。
いずれの場合も、金属としっかり接触させ、導線や接続部分が錆びたり、切れたりしないように注意してください。
内蔵型アースの電子レンジを選ぶメリット
最近は、アースを取らなくてもある程度安全に使える構造を持った電子レンジも出ています。
内蔵型アースの電子レンジは、機械の内部で電流の逃げ道を確保する仕組みがあり、コンセント側にアース端子がなくても安全性を高められます。
- アース環境が不十分な場所でも、漏電が起きにくい構造になっている
- 既設のコンセントがアース非対応でも、比較的安全に使用できる
ただし、「内蔵型アース」があっても完璧ではない場合もあります。
過度な期待はせず、あくまでも“保険的な機能”と思っておくとよいでしょう。
延長コードや分岐タップの安全な使い方

アース端子がついている延長コードやタップを使うのも一つの方法です。
ただし、その延長コード自体がきちんとアースを取れる状態でないと意味がありません。
以下のポイントをチェックして、安全に使いましょう。
- 電子レンジ専用のコンセントをできるだけ確保する
- 許容電力を超えないようにする
- 配線を束ねたり、コードを傷つけたりしない
- 延長コードの被覆やプラグが傷んでいないか
- コンセントにほこりや水が入っていないか
- タップやコードが発熱していないか
延長コードや分岐タップは、電流が集中すると熱を持ち火災につながる場合があります。
電子レンジは消費電力が高い家電なので、コンセント周りの状況には特に注意が必要です。
アースを付けずに電子レンジを使う場合の注意点
アースをつけないとどうなる?リスクを理解しよう
アースがないと、漏電した場合に感電や火災などのリスクが高くなります。
また電子レンジ自体が故障しやすくなる可能性もあります。
もちろん“毎日必ず事故が起きる”わけではありませんが、“もし起きてしまったとき”にダメージが大きくなるのです。
短期的に使うだけでも、リスクはゼロになりません。
アースは漏電対策や感電防止に大きく役立ちますが、アースなしで使うと下記のリスクが高まります。
- わずかな静電気でも人体に電流が流れる可能性がある
- 故障時に外装へ電気が漏れ、ドアの開け閉めのタイミングで感電する危険性
実際に事故を起こさないまでも、軽いビリビリ感を感じることがあり、特に高齢者や子どもはショックを受けやすいので注意したいところです。
電子レンジ以外の家電も注意が必要?
実は、冷蔵庫や洗濯機などの家電もアースがある方が安全です。
特に水まわりの家電は、漏電しやすい環境になるので危険度が増します。
電子レンジに限らず、水分を扱う家電や金属部分が露出している家電の場合、アースを取ることで万一の感電リスクを減らします。
アースがない賃貸の場合は、これらの家電の扱いにも配慮が必要です。
安全確認のポイントとプロの相談が必要な場合

アースをつける・つけないの判断は大事ですが、それだけが安全のすべてではありません。
下記のポイントも含めて注意してください。
- コードに傷や断線がないかチェックする
- たこ足配線になっていないか確認する
- 使っていて焦げ臭い・異音がするなどの不具合を見逃さない
自己流でアースの配線をしていると、かえって危険を高めることがあります。
たとえば、水道管が実は樹脂製だったり、配管の途中で切り替わっていたり、共有スペースに勝手に穴を開けてしまったりすると大問題です。
特に以下のようなケースには注意してください。
- 賃貸契約上、改造が制限されている
- 古い配線で安全性に不安がある
- ベランダや外壁への工事が必要
賃貸でどうしてもアースを取りづらい場合や、電気に関して知識が乏しく不安な場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
プロの電気工事士なら、賃貸の制約を踏まえた最適なアドバイスをしてくれます。
アースがない賃貸でも安心して電子レンジを使うために

まとめ:アースがない賃貸で電子レンジを使う際の心得
- リスクを理解する
アースがないと感電や火災など、大きなトラブルにつながる可能性があります。 - 簡易アースを検討する
水道管やアース棒など、工夫次第である程度はリスクを下げられます。 - 家電の選び方も工夫する
内蔵型アースがある電子レンジや、アース付き延長コードを活用しましょう。 - 無理はせずプロの力を借りる
賃貸契約や建物の事情によっては工事が難しい場合もあるので、管理会社や電気工事士に相談が安全です。
賃貸物件での安全対策を考える
最後に、賃貸物件での安全対策全般について考えてみましょう。
築年数が古い物件でも、管理会社や大家さんに相談すれば、アース付きコンセントの設置や修繕を検討してもらえる可能性があります。
防水や防カビなどのリフォームに比べれば、アース線の追加工事はそれほど大がかりにならないケースもあります。
住環境の安全性を高めるために、思い切って交渉してみることも大切です。
また、火災保険や賃貸物件向けの家財保険をつけておけば、万が一のトラブルに対して保証が受けられる場合もあります。
自分の身を守るだけでなく、隣人や建物自体を守るために必要な視点といえます。
アースがなくても困らないように思えるかもしれませんが、安全を守る上で非常に大切な要素です。
日々の暮らしをより安心なものにするために、できる限り地道に対策をとってみてください。
長い目で見ると、その積み重ねがトラブルを未然に防ぎ、快適な生活を続けることにつながります。